2025年8月2日、福岡県田川市 いいかねPaletteでヘボコン開催!!

福岡県田川市の廃校を改装した複合施設、いいかねPaletteの一室を借りて、子どもと大人向けにヘボコンワークショップを開催。その時の様子についてレポートいたします!
ヘボコンとは?
ここで、ヘボコンとは何かおさらいしておこうと思います。詳しくは下記動画で概要を説明しているので見てほしいのですが、そんな時間も気力もないヘボいみなさんの為に、こちらの記事でも触れておきましょう。
ヘボさを競うコンテスト
ヘボコンとはその名の通り、作ったロボットの”ヘボさ”を競うコンテスト。ロボット同士に相撲をさせるトーナメント形式で行うのですが、そこで競われるのは如何に技術力が低いかであり、さらに言えば、いかに最初の想定と違ったか、そもそも作れないから諦めた、当日ロボットを電車に忘れて会場に辿り着かないといった、制作者のヘボささえも評価されるのです。
じゃあ、なんの意味があるの?とお思いでしょう。もちろん、役に立たないわけではありません!
誰でも参加ができて面白い。何かを作ってみよう、という気になる。 という価値
ヘボコンは、STEAM教育の教材の一つとして、なんと全世界でも、認められ、授業や大会が行われているのです。普通ロボットコンテストでは、高い技術力と、技術者たちが培ってきたお手本をベースに、地道に改良して機体を作っていくことかと思います。しかし、技術力の低さを競うヘボコンはそれのどちらも要りません。だから、
誰でも参加ができて面白い。
何かを作ってみよう、という気になる。**
**「私、プログラムわからないし」とか、「僕、絵のセンスないんだ」とか。
そうやってものを作ることを諦めたことが、誰にでもあると思います。
大丈夫。その”ヘボさ”をヘボコンは評価してくれます。だから安心して、ものづくりに取り組める。それがヘボコンが提供できる価値のうちの一つです。でも、ヘボコンの真髄はさらにその先にあります。
最終目的はヘボの素晴らしさを知り、ヘボを楽しむ人生を手に入れること
やってみたいと思って手をつけたはいいものの、全然上手くいかなくて、最初思ったものと違うものができてしまう。試行錯誤して、これでいいか、とできたものが、なんだかおかしな動きをするロボットになってしまうとか。それが可愛い、面白いと思えること。自分だけじゃなくて周りのみんなも、お互いのロボットを見て、なんだか応援したくなったり、そのヘボさについ笑顔になってしまう。その感覚を手に入れることこそ、ヘボコンの醍醐味なのです。
ヘボの素晴らしさを知り、ヘボを楽しむ人生を手に入れる。**
**ヘボコンの最終目的はそこにあると公式サイトでも語られています。
それがヘボコンを開催したい訳
そして、重要なのは、この価値観で手に入るのは、挑戦に対する抵抗感の緩和や、”失敗”への寛容さだけではないと、私は考えています。
それは単に成功するだけじゃない、お互いの弱さを認め合い、楽しい時間を共有することを尊いと思う姿勢です。
冒頭の動画にもありますが、どんな人も笑顔で楽しめるヘボコンのカルチャー。ロボットを考えてからコンテストに出るまでの過程で、人と関わり、共に笑う。そうして人のヘボさが暖かく愛おしく感じられる。そうした関わり合いを伝えたいからこそ、私はここ田川でヘボコンを開催したのです。
制作時間の様子
前置きが長くなりましたが、当日の概要はこんな感じ。
- @福岡県田川市 いいかねパレット Room1
- スケジュール
2025/08/02(土) 12:00 ~ 17:00
開催説明 ~12:30
制作 ~14:30
試合 ~15:00
ヘボコン受賞投票と授賞式 ~15:30 - 参加者 8名(子ども3人と大人5人)
- 進行役 2名
- ロボット持ち込みの場合は参加無料、当日作成の場合は材料費 2000円
今回はワークショップなので、通常のヘボコンとは異なり、その場でロボットを作る形式にしました。とは言え時間も有限かつ、電子工作をしたことがない人でも参加できるように、素体となるロボットと工作するための材料を開催者側で用意しておきました。当日の制作時間では、素体となるロボットを選んでもらって、そこに例えば割り箸やら針金やら目のシールやら、装飾や武器になりそうなものを貼り付けて、どんなロボットにしたかったのか、それで実際どんなロボットになったのか、そして相撲での戦いざまなどを見て、お互いのロボットのヘボさを競います。
今回参加してくれた子供たちは、みんな自分で素体となるロボットをある程度作って持ってきていて、2時間も制作時間とったけど持て余してしまうだろうかと懸念していました。しかし始まってみれば、初めこそ少し戸惑いがあったものの、それぞれ思い思いの装飾や武器を取り付けて、上手くつかなかったりを楽しんでいるようでした。それぞれがもっと面白くできないかとわちゃわちゃとしながら試行錯誤を繰り返し、気がつけば2時間経ってしまっているような状態。結果的には、”良すぎる”ロボットになってしまわない、かつ、制作者たちも満足できるような、ちょうど良い時間配分となりました。

予選!!
試合はトーナメント形式で、今回の土俵は規定通り50cm ✖️100cmの板を教卓の上に載せて作りました。落っこちて壊れないか心配ですが、それもまたヘボコンの醍醐味。そもそも、お互いぶつかり合った時点で壊れたりしそう。念の為、先に集合写真を撮っておきました。(動画のサムネ参照。)

ロボットの機能や必殺技、どこがヘボいのかを選手(制作者)達が説明した後、いよいよ試合開始です。前述した通り、どんなつもりで作ったのか、それが実際どうなったのかも、ヘボコンの重要な評価ポイントです。選手たちはどんなロボットを作り、どんな試合を繰り広げたのでしょうか?!
第一試合 【まとまるくん/クワガタ】vs【あんどうしゅう/エリーマン】
**選手:**まとまるくん
**ロボット名:**クワガタ
**機能と必殺技:**飛び跳ねるツノで相手を攻撃する。
**ヘボいところ:**音楽が鳴っていない時は飛び跳ねない。

笑顔が可愛らしい。おそらく紙袋を機体で覆い、装飾した模様。前の割り箸がツノなのだとしたら、鹿のカチューシャはなんなのだろう。もしかしてこちらが飛び出るのだろうか。そしてどうやら音が鳴るらしい。楽しみです。
**選手:**あんどうしゅう
**ロボット名:**エリーマン
**機能と必殺技:**うあーーーーーーーーーーーーーーー(原文のまま)
**ヘボいところ:**威嚇をするところ。あと、変なポーズをするところ。ちなみにもう直ってるかもしれないらしい。

虎のぬいぐるみのおもちゃをベースに作り上げられたこの機体、大量の割り箸が槍のように取り付けられており、攻撃力が高そうだ。どんな威嚇をするのか、ぜひ変な姿勢も見てみたい。ちなみにエリーマンは虎の胸元に抱えられているのだそうです。
試合開始!!

第一試合から衝撃の始まり方。クワガタの起動方法は叩くことらしいのです。詳しくは最後につけるyoutube動画から確認して欲しいのですが、アンパンマンマーチの曲が流れている。なるほど音が鳴るとはこのことだったらしい。同時にこぼれ出ている黒い物体はなんなのでしょうか。

対するエリーマンも、数秒その場で足をかくような動作をしたのち、クワガタに向けて突撃開始!手で補助していように見えるがこれは誰がなんと言おうとコントローラー。実にハイテクだ。そのまま強力なツノと推進力で見事クワガタを押し出し、第一試合の勝者となりました。落ちた拍子に鹿の角のカチューシャが外れて土俵に残り、笑いを誘います。エリーマンの変なポーズは今回は見られず、残念です。
第二試合 【おおつき/空に行ってみたかったカメ】vs【現実逃避デザイナー/〆キリン】
**選手:**おおつき
**ロボット名:**空に行ってみたかったカメ
機能と必殺技:
回転するプロペラで近づいてきたロボットを攻撃する、ウィンドカッタートルネード。
ヘボいところ:
必殺技名がへぼい。
飛べないところがへぼい。
プロペラが重く、想定より回転スピードが遅くなったのでヘボい。

タミヤのロボクラフトシリーズ、メカタートル(クロールタイプ)を素体とし、上部に小型ファン用のモーターを取り付けてプロペラを拡張したのがこの機体。手を近づけると涼しいらしい。結構攻撃力が高そうです!
**選手:**現実逃避デザイナー
**ロボット名:**〆キリン
機能と必殺技:
締め切りの3時間前が一番やる気がでる。
膨らむ案件。案件(スポンジ)に絡まって別の案件が増えることがある。
**ヘボいところ:
**ワイヤーに絡まって自分も動けない。
制作時間の半分以上をお昼休憩に使ったので細かく作っていない。
このアピールポイントの用紙の提出もギリギリ。

素体はタミヤのメカキリン(四足歩行タイプ)。体にたくさんの案件(スポンジ)がつきささったワイヤーが巻き付いています。一見可愛らしい外見と裏腹に重たいテーマ。大人の苦悩がたくさん込められたこの機体。保護者の方や大人の参加者の笑いと共感を誘っていました。自分のことかと思う方も多いのではないでしょうか。

初戦はお互いがぶつかることなく、空に行ってみたかったカメが土俵外への飛翔を試みたため、ヘボヘボルール適用により再試合。より近づいた状態で仕切り直しとなりました。

対する〆キリンは抱えた案件の重さで動きは遅いものの、確実に直進。抜群の安定感で、空に行ってみたかったカメのウィンドカッタートルネードをものともせず、見事勝利。締切ってやっぱり大事ですね。空に行ってみたかったカメの方も、戦うことよりも、一貫して空への飛翔を試みているようにも見えます。健気さが愛おしい。
第三試合 【くろき/メカ牛くん】vs【さじさじ/Shaun the sheep】
**選手:**くろき
**ロボット名:**メカ牛くん
機能と必殺技:
ボール投げ。
ヘボいところ:
30%ぐらいの確率でしか必殺技が発動しない。

お次はタミヤロボクラフトシリーズ、メカカンガルーにさまざまな機構を取り付けたこの機体。左右に伸びた長い割り箸が水牛のツノを思わせる。背中には別電源のモーター式投石機がついているようで、今回のヘボコンではなかなかのハイテクぶり。後ろの風船はバランス調整用でしょうか。ただの装飾でもおかしくはありません。
**選手:**さじさじ
**ロボット名:**Shaun the sheep(羊のショーン)
機能と必殺技:
とりあえずなんとなく進む?
ショーンのように予測できない動きをするかも?
ヘボいところ:
ショーンのようにどこまでも突き抜けて進むけど、予測できない動きをするかも!今日も野原や倉庫を駆け抜けてきた証を背負ってます。

もこもこのスポンジと絡まった花、ぱっちりおめめが可愛らしいこの機体。タミヤロボクラフトシリーズ、メカダチョウがベースとなっています。スポンジがいい緩衝材になってくれそうです。でも同時に重そう。うまく進むのでしょうか。見ものです。

試合開始と同時にメカ牛くんの投球が炸裂!30パーセントの起動確率を乗り越えたものの、球はどちらも羊のショーンの横を通り抜けてしまいます。残念!しかもスイッチの方向を間違えてメカ牛くんは後退り。慌てて前進させます。

そうこうしている間に羊のショーンがメカ牛くんの右のつのに直撃!一瞬膠着したかに思えましたが、なんとまるでダンスを踊っているかのように、その場で二人でクルクルと回り出しました。仲がいいのはいいことです。結局試合時間の1分が過ぎ、ヘボヘボルールの適用で、より進んだ方、今回は羊のショーンの勝ちとなりました。
第四試合 【せいしろうゆうた/ドラえもん】vs【モリタ/エサにつられたカブトムシ】
**選手:**せいしろうゆうた
**ロボット名:**ドラえもん
機能と必殺技:
頭のヘリコプターで相手を殴る+噛み付く。
ヘボいところ:
動きがへぼい。

こちらは持参してくれた素体に、タケコプターと白くて丸大きな足をつけた、ドラえもんの名を冠した機体。白い足が車輪のように回転して進みます。よくみたらその車輪も角ばっていて、なかなか動きがへぼそうです。怪獣のような顎を持つ他、頭部のタケコプターを前に倒すこともでき、殴れるようです。どこまで役に立つのか、期待できます。
**選手:**モリタ
**ロボット名:**エサにつられたカブトムシ
機能と必殺技:
目先の欲に囚われている時が一番強い!!
カブトムシ君はスイカを見つけた。お腹がへったカブトムシ君はスイカを目の前に、最後の馬鹿力を出すのであった。
ヘボいところ:
しかし、スイカを背負っているのはカブトムシ君であり、進めど進めど追いつかず、体は重く、力はなくなるばかり。相手を押す力も残されていないのだった。エサをちらつかされ、最後の力を振り絞ったのに、その餌は虚像に過ぎず虚しく死ぬのみ。今日もどこかで繰り返される、夏の終わり、カブトムシの亡骸。

タミヤロボクラフトシリーズ、メカビートルの目の前にスイカの皮(実物)を吊り下げたこの機体。なんでも参加できなかった友人の願いでこのスイカを使っているらしい。このせいで非常に進み辛そうですが、友人の願いを実現できて満足そう。物語を楽しむのもヘボコンならではです。

第一試合はお互い衝突せず、カブトムシくんはスイカにつられてあらぬ方へ進んでいますし、ドラえもんは足が取れてその場で動けなくなっています。両者なかなかいいヘボさですが、動けないドラえもんが、へぼさでは一歩優勢かというところ。

第二試合と同様ヘボヘボルール適用で、両者を近づけたところから試合再開。幸いドラえもんの足も復活しており、ゆっくりと近づいてタケコプターで直撃!カブトムシ君をこけさせることに成功!通常ならヘボいほど相撲には勝てないものですが、今回は、相撲でもへぼさでもドラえもんの勝利といったところでしょうか。お見事です。
優勝と「もっともヘボいロボット」賞
準決勝、決勝も大盛り上がり。相撲トーナメントの優勝者にもトロフィーが贈呈されますが、ヘボコンでは次の賞には劣ります。それは今回の目玉の賞である「もっともヘボいロボット」賞。もちろんトロフィーと景品も、最もいいものが贈られます。今回は、小学生3年生が作ったトロフィーとヘボコン2025Tシャツが授与されたのですが、どんなトロフィーが、誰の手に渡ったのでしょう。ぜひ動画でチェックしてみてください!
おわりに。
今回のワークショップは、慌ただしい中行い、不安もありました。しかし、大人も子供も、ものづくりに夢中になり、試合を楽しみ、何よりヘボさを面白がっている様子を見ることができました。私の目論みである、ヘボコンの魂やカルチャーが少なからず伝えられたのではないかと思います。同時に反省点も見えたので、大変ではありますが少しずつできることをしていこうと思います。
今回の詳しい振り返りや今後の活動については、別途下記の記事にまとめましたので、お時間ある時そちらをご覧いただければ幸いです。
今後の活動について|Koki Itoハロー、教育とロボットが好きなイトーです。最近の近況と今後の活動についてまとめるタイミングを逃していたので、今回まとめていきたいと思います。 7月・8月イベント開催 7・8月でヘボコンワークショップというイベントを僕が主催で開催しました。「いいかねPalette」で何かイベントをやってみるという目標を達成できて本当にうれしいです。協力してくださった方々、本当にありがとうございました🙏 今回、7月は事前ワークショップ、8月は本番のワークショップを開催しました。どちらも僕の目指したものを実現できて満足しています。8月の本番ワークショップでは、8人のメンバーを集め、ロボットを当日製作しnote(ノート)
今後も田川市を中心に活動を行います。ぜひinstagramをフォローして今後の動向をチェックしみてください。
タビロボ社 (@tabi_robo) • Instagram photos and videos50 Followers, 11 Following, 18 Posts - See Instagram photos and videos from タビロボ社 (@tabi_robo)www.instagram.com
謝辞
最後になりましたが、今回参加してくださった皆様、運営のお手伝いをしてくださった皆様、お忙しいところありがとうございました。今後ともお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
参考
ヘボコンとは?(公式サイト)
ヘボコンとは?はじめに ヘボコンとは、技術力の低い人のためのロボット相撲大会です。まともに動かない、できの悪いロボットばかり…HEBOCON - 技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)ヘボコンの精神について(インタビュー記事)
『ヘボコン』はヘボいロボットが大集合! 「うまくいかないことも楽しむ」極意とは - コクリコ|講談社技術力が低い人限定のロボコン、通称『ヘボコン』主催・石川大樹さんインタビュー全2回。後編は「失敗」することの魅力、面白さについて。コクリコ|講談社
最近のヘボコン(ヘボコン2025レポート)
ヘボコンの授業導入例(レポート記事)
小学校でヘボコンの授業をする(僕なんかがプログラミング教育でいいんですか)技術力のない人が無理やりロボット相撲をする大会、ヘボコン。そんなヘボコンが、小学校の授業になった。急な話で「えっ?」って感じだが、ほんとになったのだ。 (石川大樹)デイリーポータルZ